■目次
美味しさくらんぼを作るうえで大切なさくらんぼ畑の管理等について
さくらんぼの栽培は、年間を通じて様々な作業を必要とします。
1月から12月までのさくらんぼにかかる様々な作業で主なものを紹介します。
品質の良い美味しいさくらんぼを作るには、桜桃に対し労を惜しまず着実に管理する必要があります。
冬季剪定について(1月~3月)
この時期は、主に桜桃の木の剪定作業を行います。桜桃の木は、春から夏にかけ新たな枝が生えたり、既存の枝が伸びるため、枝が混み合ってしまいます。
このため、切り戻し、枝の間引き、切り返しといった剪定を行います。
これにより木の形を整えて、風通しを良くし、樹冠全体に日光が当たるようにします。
高品質のさくらんぼを作るためには欠かせない作業です。
受粉作業について(4月中旬から4月下旬)
この時期になると、さくらんぼの花が咲き始めます。
さくらんぼは自家受粉しないので、親和性のある他の品種の花粉が必要です。
・早生のさくらんぼは、花が咲くのが早いので、受粉するための花がないため、
前年度に摘んだ花の花粉を冷蔵保存しておき、とりあえずこれを使い受粉作業を行います。
(この花粉は数パーセントしか生きていませんので、受粉効果はあまり良くありません)
・当園では、花粉を採取するための木としてフランスワンという木があり、
これが咲きだすと花を摘み花粉を採取します。これを使い受粉作業は本格化します。
・受粉作業は花が咲いてから、3日位までが受粉率が良く、それを過ぎると低下していきます。
また天候にも左右され、晴れた風のない日で気温が15度位から25度くらいが良いとされていますので、作業は忙しいです。
・受粉作業の方法ですが、乾いた花粉を毛羽たきに付着させて受粉させます。
すべての花に万遍なく行い、これを数日かけて数回行います。
なかなか大変な作業です。助っ人として、ミツバチを借り受けて活用しています。
5月~6月にかけて行う作業について
5月初めには、小さな実が付きます。全部の花に実が付くわけではありませんが、この実が日々成長していきます。
この時期は桜桃の木が実を膨らませることから、土が乾燥することのないよう必要に応じて灌水作業を実施します。
余談ですが、小さな実は沢山なりますが、成長するにつれ生理落下しますので、
実が落ち着くまでは、成り具合はわかりません。
実が小さいこの時期に、畑全体を設置されているサイドレスハウスの屋根に登り、
天井に収納されている防鳥ネットとビニールを広げます。
さらにサイドの防鳥ネットも下げ、ハウス全体をネットで覆います。
また、余計な枝や葉と取り除きさくらんぼに良く日が当たるようにします。
さくらんぼ狩り開園中の作業について(6月初旬~下旬)
さくらんぼが赤く色づきいよいよさくらんぼ狩りの始まりです。その期間は概ね20日程度です。皆様に喜んでいただけるよう丹精込めた美味しいさくらんぼを召し上がっていただきたいです。
この時期は、何といってもさくらんぼの収穫作業です。さくらんぼ狩りにお越しになるお客様に対するお土産用のさくらんぼを支度する必要があります。このため、朝5時頃からさくらんぼをもぎます。
さくらんぼ狩り終了から行う作業について(7月~10月)
・7月上旬にハウスを覆っていたネットとビニールをすべて収納します。
・収穫も終わりますと、桜桃の木にお礼肥を撒きます。
さくらんぼを実らせるため、木が体力を消耗しているためです。
・この時期に夏季剪定を行います。葉が付いているので、日当たり具合がわかりやすく、
また太めの枝を切り取るはこの時期が最適だからです。
・草が一番伸びるのも時期です。当園は草生栽培をしていますので、
草刈り機を使って2週間に1度位の割合で草を刈り取ります。
(草生栽培は、草が土壌に根を張ることから、土壌が良くなるといわれ言います。)
・さくらんぼは実を付けているときから、来年の花芽を付けています。良く見ると分かります。
この花芽は来年に向け徐々に成長していきます。
ここで重要なのが葉っぱです。光合成を行いその養分を木に蓄積していきます。
葉っぱは通常12月上中旬まで付いています。
この葉に病気に罹ると早く落ちてしまいますので、来年の収穫に大きく影響します。
葉の管理もとても重要になります。このため何回か防除作業を行う必要があります。
・桜桃の木に秋の施肥を行うとともに、灌水などの土壌管理を実施します。
冬季に行う作業について(11月~12月)
・草の管理や有機肥料としてのわらなどを土壌に埋設する。
・落葉した葉っぱを焼却あるいは土壌に溝を掘り埋設する。
・必要に応じて病害虫の駆除を実施する。